経営革新計画の承認を得るには、申請する取り組みが「新事業活動」に該当することが前提条件になります。しかし「新しい取り組みなら何でも通る」わけではなく、中小企業等経営強化法が定める類型に沿った整理が必要です。自社の事業が要件を満たすかどうかは、計画書を書き始める前に確認しておく必要があります。詳細な解釈は都道府県の担当窓口や顧問専門家に確認してください。
「新事業活動」は4つの類型に整理される
中小企業等経営強化法では、新事業活動を大きく4つの類型で捉えています。①新商品の開発または生産、②新役務(サービス)の開発または提供、③商品の新たな生産または販売の方式の導入、④役務の新たな提供の方式の導入、です。これらのいずれかに該当することが、計画承認の出発点になります。
注意が必要なのは「新しい」の基準が「業界・市場で初めて」である必要はないという点です。一般に「自社にとって新しい」取り組みであれば要件を満たすと解釈されます。ただし、既存事業の延長にとどまると判断されると承認は難しくなるため、「何がどう変わるか」を具体的に説明できる必要があります。
自社が新事業活動に該当するかを判断する視点は?
実務上よく迷うのは、「既存事業の改善」と「新事業活動」の線引きです。判断の際には次の問いを自社事業に当ててみると整理しやすくなります。
- 提供する商品・サービスの内容が変わっているか
- 販売・提供の仕組みそのものを変えているか
- 対象顧客や市場が従来と異なるか
たとえば、飲食店がこれまでイートイン専用だった業態にEC販売を加える場合、「役務の新たな提供の方式の導入」として整理できる可能性があります。一方、単価を変えただけ・メニューを少し増やしただけ、といったケースは既存事業の改善とみなされやすく、類型への該当が難しいことが多いです。
「業界で既にある取り組み」でも申請できる?
よく受ける相談が「同業他社が既にやっていることを自社でも始める場合でも新事業活動になるのか」という点です。多くの場合、「自社にとって新しい」かどうかが判断軸になるため、他社で普及していても自社での初導入であれば類型に該当し得ます。
ただし、あまりにも一般化・標準化されている取り組みは審査で厳しく見られるケースがあります。審査員が「これは新事業活動といえるか」と感じるレベルの新規性・差別化を、計画書の中で丁寧に説明することが実務上の対策になります。
計画書に「新事業活動」をどう書けばよいか
計画書への書き方としては、「現在やっていること(現状)」と「新たにやること(新事業活動の内容)」を対比させる構成が有効です。現状から何がどう変わり、どんな顧客にどんな価値を届けるのかを具体的に示すことで、審査担当者が類型との対応を確認しやすくなります。
また、類型との対応を計画書の中で明示する形式を求める都道府県もあります。事前相談の段階で「どの類型で申請するか」を担当者と確認しておくと、書き直しのリスクを減らせます。計画書のフォーマットや記載ルールは窓口ごとに異なる場合があるため、必ず申請先に確認してください。
新事業活動として認められにくいパターン
参考として、審査で否定的に評価されやすいパターンを挙げます。
- 既存商品の色・サイズ変更など、内容の実質的な変化がないもの
- 設備の老朽化対応・維持管理を目的とした設備更新のみ
- 売上向上を目的とした広告費増加のみ
- 既存事業の繁忙期対応として人員を増やすだけ
いずれも「事業の中身が変わる」要素が薄く、新事業活動の類型に当てはめにくい内容です。設備投資や人材採用が含まれていても、それが新事業活動と結びついているかどうかが判断の核心になります。
事前確認をどこでどう行うか
経営革新計画の申請窓口は都道府県の担当部署(福岡県では商工部門など)になります。申請前に事前相談の機会が設けられているケースが多く、「この取り組みは新事業活動に該当しますか」という質問を持ち込めます。窓口相談だけでなく、商工会・商工会議所・よろず支援拠点なども相談先として活用できます。
計画書を仕上げてから「類型に該当しない」と指摘されると手戻りが大きくなります。概要レベルで取り組みの方向性が固まった段階で、一度窓口に相談するのが実務上の定石です。詳細な判断基準や最新の申請様式は、担当窓口で必ず確認してください。
よくある質問|経営革新計画の「新事業活動」の判断基準
自社にとって新しければ業界既存でも該当する?
多くの場合、「自社にとって初めての取り組み」であれば新事業活動の類型に該当し得ます。ただし一般化しすぎた取り組みは審査で厳しく見られるケースもあるため、計画書で差別化の根拠を丁寧に説明することが重要です。詳細は申請窓口で確認してください。
設備投資だけでは新事業活動に当たらない?
設備投資は単体では新事業活動と認められにくく、その設備を使って何を新たに実現するかが問われます。設備導入が新商品・新サービス・新たな提供方式と結びついていることを計画書で示す必要があります。具体的な判断は担当窓口にご相談ください。
4つの類型のうちどれを選ぶかは自由に決めていい?
自社の取り組みに最も近い類型を選択しますが、複数の類型にまたがる内容でも申請は可能です。ただし都道府県によって記載ルールが異なる場合があるため、事前相談で担当者と類型の対応を確認してから計画書に落とし込む進め方が確実です。