小規模事業者持続化補助金の対象経費は、機械装置費・広報費・ウェブサイト関連費など複数の区分に分かれており、一見すると対象のように見えても認められないケースがある。判断のポイントは「販路開拓に直接つながる支出かどうか」という軸にある。具体的な補助率や上限額は公募回ごとに異なるため、必ず最新の公募要領と担当窓口で確認してください。
対象経費の「区分」をまず把握する
持続化補助金では、対象として認められる経費があらかじめ区分で定められている。多くの場合、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・開発費・資料購入費・雑役務費・借料・設備処分費・委託・外注費などが区分として設けられている。区分に含まれていない支出は、どれだけ事業に必要であっても補助対象外となる。
まず自社が計上しようとしている経費がどの区分に該当するかを確認することが、判断の出発点になる。区分に入っていたとしても、用途や内容によっては認められない場合もあるため、区分名だけで安心しないことが大切だ。
判断に迷いやすい10パターン
① スマートフォン・タブレットの購入費
販路開拓のためのSNS運用やモバイル決済導入に使う端末であれば、機械装置等費として計上できる場合がある。ただし、日常の業務全般に使う汎用的な端末は「専ら補助事業のために使う」とは言いにくく、否認されるリスクが高い。
② ホームページの制作費
ウェブサイト関連費の区分に該当し、販路開拓を目的とした新規制作・リニューアルは対象となりやすい。一方で、既存サイトの維持費・サーバー費・ドメイン更新費などの「ランニングコスト」は対象外になる場合が多い。また、補助事業の中でウェブサイト関連費が占める割合に上限が設けられることもある。
③ チラシ・パンフレットの印刷代
広報費の区分に入ることが多く、新たな顧客層への周知を目的としたものは認められやすい。ただし、既存顧客向けのお礼状や社内向け資料は対象外となる。
④ 店舗の内装・改装工事費
機械装置等費に含まれるケースもあるが、建物本体への工事(基礎・構造体への影響がある改修等)は対象外とされることが多い。内装の軽微な模様替えや陳列棚の設置などは認められる場合があるため、工事の内容と根拠を明確に示すことが重要になる。
⑤ 展示会への出展料・ブース費用
展示会等出展費の区分で計上できる。ただし、出展の目的が「販路開拓」にあることを経営計画書と整合させる必要があり、業界内の親睦・交流を主目的とするイベントは認められにくい。
⑥ 交通費・宿泊費
旅費として計上できる場合があるが、補助事業に直接関係する移動に限定される。日常的な営業活動の移動費や、目的が曖昧な視察旅行などは否認される可能性が高い。
⑦ 外部デザイナー・コンサルタントへの報酬
委託・外注費に該当しうる。補助事業の一部(チラシデザイン・販促物の企画など)を外部に委託する場合は計上できる。一方、経営コンサルタントへの一般的な顧問料・経営指導費用は対象外になるケースが多い。
⑧ 自社スタッフへの人件費
多くの公募回で、補助事業に従事した自社従業員の人件費は対象外とされている。雑役務費として補助対象になる人件費があるとしても、対象範囲は限定的なため、計上前に必ず公募要領で確認してください。
⑨ ソフトウェアのライセンス費・サブスクリプション費
ECサイト構築ツールや予約システムなど、販路開拓に直結するソフトウェアは認められる場合がある。一方、会計ソフト・ワープロソフトなど汎用ソフトのサブスク費は対象外になりやすい。補助事業期間中の利用分に限定されるケースも多い。
⑩ 試作品の製造費
開発費の区分で計上できることがある。新商品・新サービスの販路開拓につながる試作であれば認められやすいが、研究目的のみの試作や量産を前提とした製造費は対象外になる場合がある。
経費を計上するときの3つの確認軸
判断に迷ったとき、以下の3点を自問すると整理しやすくなる。
1. 販路開拓に直接つながる支出か? 補助事業の目的(新たな顧客・市場への販路開拓)と支出の関係を言語化できるかが基準になる。
2. 経営計画書・補助事業計画書と整合しているか? 申請時に記載した内容と実際に発注する経費の間でズレがあると、実績報告の段階で問題になる。計画書への明示的な記載を確認しておく。
3. 証拠書類を揃えられるか? 見積書・請求書・領収書・振込明細など、経費の実態を示す書類が残せない経費は、たとえ対象区分に入っていても精算で認められない場合がある。
実務では「採択後に確認する」と思っていると、着手してから「対象外だった」と発覚するリスクがある。疑問が生じたら、申請前または発注前に商工会・商工会議所の担当者に相談することを強く推奨する。詳細は必ず最新の公募要領・担当窓口で確認してください。
よくある質問|持続化補助金の対象経費
ウェブサイト費用は上限なく計上できる?
上限が設けられるケースが多い。一般に、ウェブサイト関連費は補助金交付額全体に対して一定割合以下に制限される公募回があるため、公募要領で必ず確認してください。
申請後に経費の内容を変更してもよい?
軽微な変更は認められる場合があるが、経費区分や金額が大きく変わる場合は事前に承認を得る必要がある。勝手に変更すると補助対象外になるリスクがあるため、変更前に必ず商工会・商工会議所に相談してください。
消費税は補助対象に含まれる?
多くの場合、課税事業者は消費税分を補助対象から除外する扱いとなる。免税事業者か課税事業者かによって取り扱いが異なるため、自社の状況を踏まえて公募要領と担当窓口で確認してください。